「原体験」って…
こんばんは、日本語教師の和田卓郎です。
23区内の日本語学校で進学主任として勤務しています。
先日来、志望理由書やら面接対策やらの話をしていて、その中で繰り返し、「原体験」という言葉を使っていました。
で、ふと思い出したことがありまして、
この「原体験」、学生が考えたり、また、学生に考えさせたりするのがとても難しい、と他の先生から言われたことです。
その時は、「そっか~」ぐらいに思っていたのですが、
ふと気づきまして、もしかしたら私に「見えない意図」のようなものがあり、
それを伝えきれてないのではないか、と。
その先生は、それをご指摘してくださったのではないか、と。
で、よく考えてみまして、
私が但し書き無しで「原体験」という言葉を使ってしまっていることが、
その難しさの1つの原因だろうと気づきました。
すなわち、「原体験」というと「幼少期の体験」を考えなければいけないのでは?、という難しさです。
確かに、「原体験」とは、「現在の人格や思想に強い影響を与えている幼少期の体験」でしょうが、
最近は、幼少期に限定されない「思想や考えの基礎となっている強烈な印象の体験」のような意味で使われているような気がして、その意味で私は使ってしまっていました。
確かに幼少期に限定しちゃうと難しいですね。
先生方の中で「自分で指導すると上手くいくのに、人に同じようにやっていただこうとすると、なかなかうまくいかない」という経験はありますか?
私は、結構経験してきたような気がします。
予備校時代も、私が作ったテキストで授業すると自分では上手くできるのに、人がやると使いづらい、なんていう経験も…。
おそらく、今回の「原体験」のような「無意識の意図」や「可視化されていないイメージ」のようなものを伝えるのが不得手なのかもしれません。
改めまして、
↑このエントリー内などで言っている「原体験」は、
幼少期の体験に限定されていませんので!
このブログは、「自分の指導のモニタリング」の意味もありました。
図らずも、ブログがそのきっかけになってよかったです!
では、おしまいー。
和田卓郎
「面接練習」の困難さ その4~「その専攻の選択理由」の答え方
こんばんは、日本語教師の和田卓郎です。
23区内の日本語学校で進学主任として勤務しています。
コロナの後遺症と、新学期の準備で更新が相変わらず滞り気味ですが、
段々と活力が出てきて、良い感じになってきています!
引き続き、
こちらで紹介した、「基幹質問」
➊日本への留学理由
➋その学校の志望理由
➌その専攻の選択理由
➍将来展望
のうち、
今回は、➌「その専攻の選択理由」の対策について、
私なりの見解をまとめたいと思います。
私は、昔から教員志望だったため、
やはり教育学を中心に勉強、研究することが多かったです。
大学院は教育学研究科でした。
私が教員になりたいと思った理由は、ぶっちゃけ、
「モテるから」
でした。
中学校時代に、たまたま勉強が得意なほうで、
たまたま人に伝えるのも上手なほうだったみたいで、
そうすると友達が(女の子も)聞きに来てくれて、
なんだか列になってくれたりして…、
あ、やべ、モテる
なんて思ったのが最初でした。
私の、その後の専門、そして職業の原体験はまさにこれだと思っています。
まぁ、こんな不純な動機からだから、研究者としては目も当てられない成果だったのですが…。
(余談ですが、大学院志望者を教える時は、過去の自分を反面教師にしています)
もとい、
やはりポイントは昔も述べた「原体験」だと思っています。
「原体験」についてはこちらのエントリーで触れました。
ごくごく浅いフォーマットは、「小さいころ◯◯でした。そこから、●●を勉強/研究したいと思いました」です。
そのうえで、学生や学校のレベルに応じて、●●の深浅を調整するイメージで私は指導しています。
単純に、「面白さに気づいてもっと勉強したいと思った」から、「まだ解明/解決されてない問題点があるから、どのようにすれば良いのか、考察することが必要だ」まで、その時に最適な回答を整えます。
あまりに高度になってくると、すべての専門を私が知っているわけではないので、
本当に解明/解決されていない問題なのかどうかは分かりません…。
しかし、彼らが疑問に思った心は尊重すべきだと思いますし、
その心があれば、志望校に合格できると考えます。実際に何人も合格してくれています。
そう、「♪なんでだろ~」の精神を大切に。
おしまい。
和田卓郎
「面接練習」の困難さ その3~「その学校の志望理由」の答え方
こんばんは、日本語教師の和田卓郎です。
23区内の日本語学校で進学主任として勤務しています。
引き続き、
こちらで紹介した、「基幹質問」
➊日本への留学理由
➋その学校の志望理由
➌その専攻の選択理由
➍将来展望
のうち、
➋「その学校の志望理由」の対策について、
私なりの見解をまとめたいと思います。
一番チャラい回答は「有名だから」とかになりますが、
これはもちろんお話にならないと考えます。
また、次に、これは熱心な学生に多いのですが、
一生懸命ホームページの文言を並べて、
なんとなく立派な文に仕立てるパターンです。
これについては、その熱心さを認めたうえで、
そのうちの1つくらいのポイントに絞らせます。
あまり長く言っても「作られた」言葉感が出てしまいますし、
あまりアドポリを意識しすぎると「わざとらしさ」のようなものも出てしまうイメージがあります。
なので、ホームページから感じ取れる魅力は1つくらいに絞らせています。
で、ここからは賛否両論かもしれませんが、
私の場合はここで、
「具体的な先生に絡めた話」
を言わせるようにしています。
「●●先生の研究に大変魅力を感じ、是非お話を伺いたいと思っています」
のような。
やはり、「他の学校ではなく、その学校を選んだ」理由を答えるのがベストだと思うんですね。
でしたら、「その学校にしかない要素」というのを盛り込んだ方がよいだろう、と。
そこで、授業やゼミをお持ちの先生の名前を盛り込めば、確実に「その学校にしかない要素」が言えるわけです。
ただ、繰り返しますが、賛否両論だと思いますので、
何か、お考えがある先生いらっしゃいましたら情報交換しましょう。
また、細かいことですが、「貴学」とか「貴校」というより、「こちらの学校」と言ったほうが、言葉が柔らかくなって自然な日本語になるイメージもあります。
Q:どうしてこの学校を志望したのですか?
A:はい。○○が学べる/研究ができる学校を探す中でこちらの学校を知りました。こちらの学校の~~という理念に大変共感しています。また、●●先生の研究に大変魅力を感じ、是非お話を伺いたいと思っています。以上のことから志望しました。
のような感じです。
今日はこのへんで。
和田卓郎。
「面接練習」の困難さ その2~「日本への留学理由」の答え方
こんばんは、日本語教師の和田卓郎です。
23区内の日本語学校で進学主任として勤務しています。
ちょっと間が空いてしまいましたが、
こちらで紹介した、「基幹質問」
➊日本への留学理由
➋その学校の志望理由
➌その専攻の選択理由
➍将来展望
のうち、
「日本への留学理由」の対策について、
私なりの見解をまとめたいと思います。
この質問をされて、特によく出てくる回答は、
「アニメが好きだから」「文化が近いから」「同じアジアだから」のような回答です。
で、もしかしたら、このような回答でも良いのかもしれません。
ただ、厚みと汎用性が出る、という意味で次のような準備を私はさせています。
すなわち、
「私は、◯◯の勉強がしたかった。日本は●●なので日本に来た」
というフォーマットです。
◯◯は自分のやりたい勉強、●●はその分野における日本のアドバンテージです。
「自分の勉強したいことをするのに、日本が適してるんだ!」という気持ちです。
「自分が勉強したいこと」と日本の接点を探る感じです。
●●は、意識したことが無い学生も多いと思います。ただ、「◯◯をやるのに、日本を選んだ」ということは、
何かしら潜在的に日本へのアドバンテージを感じてるはずだ、というのが私の考えです。
とはいえ、●●が「本当に」アドバンテージかどうかは分かりません。
学問的な手続きをしたり、専門的につきつめたら、疑問符がつくこともあり得るでしょう。
しかし、良いんだと思います、その学生がそう感じて、日本を選んでくださった、ってことなんですから!
なんやかんや日本は、飛躍的な経済成長を成し遂げた国なわけですし、
経営システムも体系化されたものがあるわけですし、
世界に誇れる技術を持った分野もあるわけですし、
そして何よりも、「自分たちの言語で学問や教育が可能だ」という強力な強みがあります。
彼らが志す勉強において、日本がアドバンテージになるものは、意外と見つかるものです。
そのように準備しておけば、
「どうして他の国じゃなくて日本を選んだんですか?」とか、
「どうしてその勉強をやるのに日本を選んだんですか?」のような質問にも答えられるようになります。
「アニメが…」「文化が…」だけ用意してた学生だと答えられないですよね。
以上、私の考える「日本への留学理由」の答え方でした。
おしまい。
和田卓郎
後遺症に…
こんばんは、日本語教師の和田卓郎です。
23区内の日本語学校で進学主任として勤務しています。
こちらのエントリーで、
今まで良いペースで勉強していても、
一回大きい病気をしてしまうと、そこからペース、バランスを崩して、
結局最後まで本調子に戻れず…なんていう受験生、
そして、
特に留学生では、留学生活の半ばで長期で休まざるを得なくなった結果、
そこから出席率が改善できず…なんていう学生さん
についてお話ししましたが、
私もコロナで完全にペースが乱れてしまいました。
情けないことに、明らかに情報処理のスピードが鈍くなり、
コロナで溜まった業務、および学期末の業務のタスクに追われてしまっています。
「後遺症」と簡単に言ってしまうと、
本当に身体的に苦しんでいる人に失礼かもしれませんが、
広い意味では、
♪
後遺症に騙されてる
後遺症に犯されてる
後遺症に縛られてる
です。
※世代の方だけお楽しみください。
「お待たせしています」というほどの知名度もありませんが、
またぼちぼち再開します。
「面接練習について」がまだ志半ばなのです。
こんな時、受験生には、「焦らず、目の前のことを…」みたいなアドバイスが割と王道だったりします。
ただ、自分で実践してみると、このこともなかなか難しいな、と思ってもいます。
そこで私は最近、「1秒先を生きる」と少し発想の転換をしました。
「目の前」ことだと、「あ~まだこんなにあるよ」みたいに萎えがちなのですが、
「1秒先」に自分がどういう行動や状態にあるかを、
一瞬一瞬で想像しながら、色々やっていると、
億劫さが薄まり、いつの間にかタスクも終わり、
いつの間にか、もとの調子に戻ってる、と。
まだこのネタで受験生にアドバイスしたことはありませんが、
チャンスがあったら伝えてみます。
今日はこのへんで。
和田卓郎
「面接練習」の困難さ その1~まずはこの4つから
こんばんは。
日本語教師の和田卓郎です。
23区内の日本語学校で進学主任として勤務しています。
こちらでまとめた「本質」のうち、「①日程確認」「②出願書類添削」にまつわる「困難さ」を思いつくまま述べてきました。
今回から「③面接練習」について述べていこうと思います。
面接練習も、きっと色々な業務や授業の合間でやらないといけないので、負担になりがちです。
学校さんによって、色々と工夫されていると思います。
私たちの学校の場合は、飲食店などが使っている「予約システム」を応用しています。
指定の「予約枠」があって、その中から学生が時間と先生を選択、
で、その時、予約してくれた学生がいたらその相手をする、という方法で対応しています。
こうすれば「この時間は面接練習の可能性があるぞ」と私たちも覚悟をもちながら仕事の計画を立てることができます。
で、私の場合はほぼこの台詞で練習を始める、という常套句がございます。
「留学生の面接試験には、大事な質問が4つあります。この4つが完璧だったら他で少し失敗しても安心です。反対に、この4つで失敗すると、他が完璧でも危ないです。」
という台詞です。
その4つとは・・・
➊日本への留学理由
➋その学校の志望理由
➌その専攻の選択理由
➍将来展望
です。
私はこの4つの質問のことを「基幹質問」と呼んでいます。
次回以降、順にポイントをまとめていこうと思います。
今日はこのへんで。
和田卓郎
「出願書類添削」の困難さ その6~「推薦書の書き方」を一言で
こんばんは、
日本語教師の和田卓郎です。
23区内の日本語学校で進学主任として勤務しています。
さて、出願書類の困難さシリーズでやってきましたが、
あれもこれもと出てきそうなので、そろそろ締めたいと思います。
研究計画書についてなどは別件でまとめられたらと思います。
標題の通り、
推薦書について考えをまとめてみようと思います。
推薦書の発行も日本語教師の負担になりがちです。
まず大前提として、推薦書では、学生を褒めます。
書類の特性上、そらそうです。
で、
基本的なテンプレートを超単純化して1行で言うと、
「当学生は◯◯な学生です。例えば、✕✕です。」
です。
本当にこれだけです。
もちろん、◯◯と✕✕に入る言葉によって、接続語や修飾語や文末の操作はします。
でも、構造としてはこれだけです。
◯◯が一般化された言葉、✕✕が具体的エピソードです。
確かにすぐはエピソードが浮かばない学生もいます。
そういう時は、過去の記録と記憶を総動員して、「✕✕なエピソード」を絞り出します。
また、私達の学校の場合は、担任の先生から情報をもらったりします。
そして、「◯◯な学生」と抽象化します。
手放しで褒められたエピソードじゃなくても、視点を変えて抽象化すれば、
意外と「褒め言葉」になったりします。
長く書かなければならないときは、✕✕エピソードを増やせば欄が足りなくなるほどになります。
それでもネタ切れで、やむを得ずネガティブになっちゃいそうな時は、
「確かに▲▲こともありましたが、それを補うように■■なこともありました。これも◯◯の表れと言えるでしょう」
みたいに、あくまで「◯◯な学生だ」というところに帰着させれば座りが良くなります。
で、最後「以上のように優れた学生であるため推薦します」的にそれっぽくまとまります。
私が自分で良く使うな、と思う言葉は、
「兼ね備えた」「実際」「まず/また/さらに」「それを補うように」「邁進できると考え」、あたりです…。
とここまで書いて、
なんか、テクニカルで胡散臭い記事になってる気がきてきました💦
ま、まぁ、
普段から、褒めエピソードが出てくるような雰囲気作りをしていきたいものです!
おわり。
和田卓郎