「出願書類添削」の困難さ その5~志望理由書の添削の続き
こんばんは、日本語教師の和田卓郎です。
前回のエントリーで、
次回は「過去-現在-未来のストーリー」を作りやすくする思考法について述べると言いました。
一言でいうと、
「抽象化」思考
です。
2個以上のものから共通要素を取り出してまとめる、です。
〈りんご/みかん〉→「果物」
〈りんご/血〉→「赤」
みたいなことです。
昨日の例で言ったら、
〈源氏物語/マンガやアニメ〉→「日本語で表現された作品」
です。
図式化すると、
学生が「A」という志望理由を言った時に、
〈A/B〉→「X」
という構造に落とし込めるように、誘導的なヒアリングをして、
「過去-現在-未来のストーリー」を構築します。
私が良くするのは、「1番最初に◯◯を知ったのはいつ?」です。
「知ったのは?」というのがミソで、うまくすれば一回で出てきますし、
なかなか出てこなくても何回か掘り下げれば、Xが導き出せるようなことを言ってくれます。
それは、家族の何気ない一言だったり、小学校の教室での喧嘩だったり、小さい頃に見たテレビだったり…。
それで、Xを噛ませて今の志望理由とつなぎ合わせる。
「もともとBきっかけで、その時からXで、今、Aなんです。だから、志望したいです。」
みたいなイメージです。
確かにここで表現されたものは、教員の補助があったものですが、
彼らが頭の中や心の底から絞り出したエピソードを元にしてるわけなんで、
もちろんオリジナリティがあるものですし、また、不思議と相手の心に響くんです。
この「抽象化」能力は、「アナロジー思考」にも通ずるものだと思います。
つまりは、「問題解決能力」につながるものです。
人間が生きていくうえで、必須の能力として挙げられるものです。
そのあたりの礎だけでも、日本の高等教育機関に進む彼らに身につけさせたい、と願っています。
絶対に必要な能力だと思うんだけどなぁ…。
和田卓郎